商業形態

なんつーかアレだな、猫も杓子も最近の若い女性(あんまり若くない方もいらっしゃいますが)はルイ・ヴィトンのバッグを持っていらっしゃいますね。電車とか街中とか、あのマークの入ったバッグがあっちこっちで見えますよ。


よく知らんけど、高級ブランドなんざましょ?いくら高級っつったって、あれだけそこかしこに氾濫してたら高級感なんかしてこないと思うんだがどうなんですかね?


例えば、そこらの車道を走っている普通乗用車がほとんどベンツだったと考えてみてくださいよ。そんな状況で誰が「ベンツ乗ってる人ってすげー」と思います?まあ例えが「ベンツ」ってーのもどうかと思いますが。


もうユニクロみたいなもんですよ、私の腐った目からしてみれば。有名ブランドで誰もが持っているという観点からすれば同一ですもの。ただそれが高級ブランドか低価格ブランドかっていう全く逆方向に伸びている企業ってだけで。


そうは言っても女性の方々は実際持ってお出掛けしている訳ですよ。それは何故か?まああたしゃ女っ気の全然ない環境(学校とか職場とか)で生活しておりますので、女性の感覚とかよくわからんのですよ。周りにいる数少ない女性は全然持っていないし持つ気も無いという有様ですし。


とにかくああいう人達は持つ事がステータスで、持っているのは当たり前、持っていなけりゃ相手にされない、それで持っている人達の中で同じブランド内での優劣を競い合い、そして優越感に浸るのがある意味強迫観念のようにつきまとっているんじゃないかと思うんです。


たかだか20数年しか生きていない若僧がこういう言い方をするのもなんですが、戦後の日本は急激な復興を成し遂げ、竹のようにすくすくと生活レベルを向上させていったのです。当時は珍しかったものが今では当たり前になってしまった商品などいくらでもあります。電話、車、クーラー、冷蔵庫、カラーテレビ、最近では携帯電話、パソコン、DVDプレーヤーetc...とにかく枚挙に暇がありません。持っている人が少ない状況で持つことはそれだけで他者から羨望の眼差しを浴びる事が出来ますし、商品を使いこなす使いこなせないに関わらず価値のあるものであったといえるでしょう。


この理論からすると、いずれルイ・ヴィトンのバッグもブランドとしての価値が暴落し、そこいらで投げ売りされるという事になります。しかしそうはならないでしょう。今実際にバッグを所持している女性の方達でそのような危惧をしているの人はごく僅かなのではないでしょうか。


それはルイ・ヴィトンが高級ブランドであるからです。高級ブランドである以上、その商品は高値でなくてはならない。つまりお金を積めば積んだだけ価値があがるのです。仮にルイ・ヴィトンが高級ブランドでなかったとしたら、そこらの何でもない普通のバッグと同等、下手をすればそれ以下の扱いであるかもしれません。購買層は高級であるが故に大金を積み、そして優越感に浸りたいのです。自分の買ったバッグは他の誰よりも高級であって欲しいし、そうでなければまた更に高級なものを欲してしまう。まあ企業にとっては金が金を生む好循環、思う壺ですよ。


商品の価値は常に変動し、過去のモノであればあるほど尊ばれ価値が向上する場合もあれば、時の商品で時が経つにつれ誰もが興味を失い商品価値が下落してしていく場合もあります。どんなものか興味があるなら、ネットオークションを見るのが一番楽でしょう。価値の上昇している商品と下落している商品が手軽に、しかも大量に見ることが出来る筈です。


多くの場合は商品が稀少な場合に起こる価格変動であり、大量生産により市場への流通量が大きい商品は然程変動することはありません。何の苦労もなく、また大金をはたく事もなく手に入る商品など誰もそれを特別視しません。


こういった状況下で、いかに企業は商売の方法によって他社より利益を上げ、熾烈な競争を勝ち残っていけるのか。そこで生まれたのが「曲芸商法」です。


まず初回限定版を発売します。ここで流通量を抑える事により、商品の稀少価値を高めます。通常版が発売される一週間後までに価値が高騰した初回限定版は、中古でも高値のまま値段がなかなか下がらず、僅かな数が一般販売されるとそれを亡者のように求め続けていた「儲」と書いて信者が喜び勇んで買う訳です。また通常版にも初回ロット販売分のみ同梱という餌を混入させる事により、通常版にも旨みが出るようにして利益を上げている訳です。


今年の私は、「D.C.P.C.」は初回限定版の予約券を紛失し秋葉原を彷徨うも見付からず通常版初回ロットで妥協し、「D.C.S.V.」は初回限定版を予約すら出来ず秋葉原を彷徨うも見付からず内容がヘボいのを知って結局買わず、「水夏A.S.+」は初回限定版をしっかり予約して購入してきて、そして今「ホームメイド」が欲しかったり欲しくなかったりな状況な訳です。曲芸に踊らされてるなぁ。断腸氏ね。


で、冒頭のルイ・ヴィトンに戻りますと、片や高級ブランドというイメージを消費者に植え付け購買意欲を煽り、片や業界で確たる地位を得ると汚いやり方で購買意欲を煽り金を掻き集めるブランドというイメージを消費者に与え続けていても儲が支えていてくれたりと、まあ企業経営の形は様々ですね、と。


別にそんな事を主張したかった訳じゃねーんだけどさ。要は「ヴィトンのバッグ持ってる女大杉」と「水夏A.S+もやっぱり曲芸商法っすか」って事で。